2017年 1月 17日
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『全国の犬像をめぐる――忠犬物語45話』犬像から日本人の犬や動物、自然との関わりかた、感じ方が見えてくる 2017年4月下旬出版 写真・文: 青柳健二 A5判・並製、184ページ、フルカラー、定価1800円+税
2009年から約1年間かけて、私は妻と愛犬(雄のビーグル犬「ヴィーノ」)を連れて日本一周の旅をしました。車に家財道具を積み込み寝泊まりしながら、北は北海道から南は沖縄まで、すべての都道府県をまわりました。 犬連れということもあり、旅先では犬に関係するものが目につきました。それで、全国には犬の像・墓・塚・碑などが数多くあることがわかり、それぞれには伝説や物語が伝わっていることも知りました。わざわざそういった犬の像を建てるくらいだから、その犬たちは忠犬(昔は「義犬」と呼んだ)であり、またそれ以上に愛犬だったということでしょう。 有名な「忠犬ハチ公」を初めとして、雪崩から主人を救った新潟の「忠犬タマ公」、伊勢神宮や金毘羅さんを飼い主の代わりにお参りした「おかげ犬」や「こんぴら狗」、怪物から村人を救った「しっぺい太郎」や「霊犬早太郎」、『南総里見八犬伝』の「八房」など、史実の犬、伝説の犬、フィクションの犬と様々です。 オーストラリア先住民アボリジニーには、「犬のおかげで人間になれる」という言葉があります。奥が深い言葉だなぁと思いますが、犬がいなかったら今の人間はなかったし、犬もまた人間と暮らさなかったら、今の犬ではなかったかもしれません。 互いが互いを必要とし協力しながら暮らす仲間です。そして違う種でありながら家族という集団を築ける、これは奇跡といってもいいのではないでしょうか。 愛犬の物語を探しているうちに、日本人の犬や動物、自然との関わりかた、感じ方が見えるような気がしてきました。日本独自の供養の文化も感じます。犬像は、私たち自身を見る鏡になっているのです。 古くは江戸時代のものから平成27年のものまで、お勧めの日本全国の犬像を約60基集めてみました。造形としてのすばらしさもあります。バリエーションが豊富で奥深い愛犬物語の世界を覗いてみてください。
★登場する愛犬たちの一部★ 小樽市;消防犬ぶん公 南富良野町;忠犬ハチ公 大館市;秋田犬の里 高畠町;犬の宮・猫の宮 鶴岡市;大山犬祭り 会津若松市;酒井隊士と愛犬クマ 須賀川市;代参犬シロ 太田市;救命犬 長野原町;犬塚の跡碑 銚子市;犬岩 君津市;久留里城址の和犬 南房総市;「里見八犬伝」の里 秩父市;三峯神社のお犬さま 東京都中央区;初代セラピー犬チロリ 台東区:落語の「元犬」 港区;乙女と盲導犬の像 板橋区;警察犬アルフの墓 中野区;お犬屋敷跡 千代田区;軍犬慰霊碑 立川市・堺市;樺太犬 駒ケ根市:霊犬早太郎 新潟市;忠犬タマ公 磐田市;しっぺい太郎 名古屋市;盲導犬サーブ 伊勢市;おかげ犬 九度山町;高野山の案内犬ゴン 琴平町;こんぴら狗 松山市;目の見えない犬ダン 九重町;ガイド犬平治 筑後市;羽犬 大村市;小佐々市右衛門前親の義犬・華丸 薩摩川内市;西郷どんのツン はじめ約60基 |