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ガンジス川源流域におけるチャールダームヤットラ(四大聖地巡礼)最大の聖地バドリナート。ナラヤン(ビシュヌ神の化身である太陽神)を祀る。また、ヒンドゥー世界の東西南北を守護する四大神領のひとつであり、北を守る霊場として崇められている。

バドリナートはヒマラヤ屈指の聖地である。険しい谷間を上り詰めた先に緑の絨毯を敷き詰めた草原が広がり、谷沿いからは温泉が尽きることなく湧き出でる。小高い丘の上には太陽神を祀る寺が建ち、その背後にはニルカンタ峰の白い峰が聳え立っている。そんな風景の中を、杖を手にした仙人たちが自由気ままに歩きまわっていた。おそらく数百年前、バドリナートは天国のような場所だったに違いない。...ただし、これは昔の話で、現在は少々様子が違っている。巨大なバススタンドがあり、そこから寺までのあいだに、ヒマラヤ山中の秘境にはちょっと似つかわしくないような規模の街が出来た(冬はほぼ無人となるが)。多くは巡礼客を受け入れる宿泊施設や宗教施設だが、一見したところではリゾート地のようでもある。華やかだが素朴さはあまりない。それに、大きな宗教施設が並ぶ様子はどこか権威的でもあり、政治臭のようなものも感じられる。風光明媚な北の霊場の押さえようと、さまざまな宗派がこぞって進出してきたためだろうか。

バドリナートはインド人には大人気の聖地だが、外国人の姿はまれである。外国人旅行者は、(ガンジス川源流域における)ヒマラヤ巡礼を考える場合、第一にガンジス川源流の聖地を目指し、さらに興味を持った人は、シヴァの霊場ケダルナートを訪れるのが普通である。バドリナートにたいしては、山中の聖地としては規模が大きく、なんとなく俗っぽいと感じるのだろうか。僕も少々迷った。だが、百聞は一見にしかず、というわけではるばるバドリナートまでやってきた。最初に感じたのはやはり軽い失望だったが、サドゥ(ヨーガ修行者)の小屋を探して聖地の周辺をうろつき歩くうちに不思議な谷間へと彷徨いこむことになった。自然の洞窟をそのまま生かした住居が少なくともふたつあり、何人かのサドゥが暮らしていた。谷間には落石の音がひっきりなしに響き渡り、そこにいるだけで何かが覚醒してくるような不思議な力があった。ただし、谷間の印象はひどく暗い。実際、雨模様の天気だったこともあるが、谷間に住んでいたサドゥの性格にも影響されている。俗世間に背を向けて暮らしているような人たちだったが、彼らもまた十分に人間臭く、特殊な環境で暮らすことによってさらに臭気が昂じているような印象さえあった。だから悪いという話ではなく、僕はこの谷間でサドゥが持つ力の源のようなものを感じてとくに印象深かった。彼らの話はすでに個人のHP(chaichai)で紹介しているので、興味のある方は下記のページをご覧いただければと思います。

サドゥを探しにOm Namah Shivaya

バドリナートへの旅は思いのほか濃いものとなった。先にも書いたように、バドリナートはインドの北を守護する霊場でもある。宗教が大きな権力を持つインドにあっては、重要な拠点であるバドリナートにさまざまな宗派が進出するのもある意味当然のことなのかもしれない。聖地の俗化などはたいした問題ではないということだろうか。そして、その周辺に癖の強いサドゥが住み着くのも自然なことなのだろう。

コメント  

 
#1 Yocke 2011-05-20 04:36
2009年にこの写真に写るネパ ーリババとはネパールのムクティ ナートの寺院で会いました。
ホームページに書かれてるような 気難しさはなく、一緒に正味2時 間ほど他のサドゥーと一緒に話を しました。

ただ確かにひょっこり現れて消え てのような不思議な存在感を持っ ていましたね。
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