2010年 7月 10日
インド最南端の聖地カニャークマリ。逆三角形に形成されたインド大陸の本当の先っぽである(菱形にたとえるなら南の端っこ)。大陸の北を守護するヒマラヤから下れば遥か2000キロ以上の旅になる。
カニャークマリは二度訪問したことがある。二度目の旅が印象的だった。ハリケーンの影響からくる天候不順が逆に幸いし、さまざまな風景に出会う機会があった。幻想的な空の下に続く真っ青な海を眺め、血で塗られたような不吉な空の下を歩いた。夕暮れを追いかけ海岸線を歩くと、寂しく悲しい風景の中にマリア像が立っていた。すぐそばにはトタン屋根の小屋があり、海からの風に電柱が揺れ、海岸線にはボートが数隻泊まっている。そんな何でもない風景を前にして胸騒ぎがとまらない。
海岸で黄昏を待っていたら俄かに雨が降り始めた。付近にはオートリキシャ(三輪タクシー)が一台あるだけだ。これを逃したら、真っ暗な夜道を雨に濡れながら30分以上歩かなくてはならない。すでに客が一人座っていて、「出発するぞ~!」とこちらに向かって叫んでいる。たまらず「5分だけ待ってくれ~!」と叫び返すが、雨脚は強まるばかり。どうしようもなくリキシャに飛び乗った。
リキシャは雨の丘を登り始めた。雨なら仕方ない、と思いつつもふと背後を振り返ると、海と雲のあいだから赤みが差し込み、見たこともないような幻想的な風景を形成しつつある。「ちょ、ちょっと待ってくれ...」と叫ぼうとしたが声にならない。と同時にリキシャは丘を越え、背後の風景はあっという間に視界から消えてしまった。
海岸で黄昏を待っていたら俄かに雨が降り始めた。付近にはオートリキシャ(三輪タクシー)が一台あるだけだ。これを逃したら、真っ暗な夜道を雨に濡れながら30分以上歩かなくてはならない。すでに客が一人座っていて、「出発するぞ~!」とこちらに向かって叫んでいる。たまらず「5分だけ待ってくれ~!」と叫び返すが、雨脚は強まるばかり。どうしようもなくリキシャに飛び乗った。
リキシャは雨の丘を登り始めた。雨なら仕方ない、と思いつつもふと背後を振り返ると、海と雲のあいだから赤みが差し込み、見たこともないような幻想的な風景を形成しつつある。「ちょ、ちょっと待ってくれ...」と叫ぼうとしたが声にならない。と同時にリキシャは丘を越え、背後の風景はあっという間に視界から消えてしまった。