2010年 8月 05日
廃墟の都市ハンピ。岩だらけの不思議な風景の中に朽ち果てた遺跡が点在している。
上の写真でハンピの魅力を十分に伝えられたか不安である。風景写真にまったく慣れていない頃の写真でもあり、またこのときは別に大きな失敗をした。出国前、持っていくフィルムの一部を、ケチって安いメーカーのものにしていた。そんなに変わらんだろう、と思ってテスト撮影もなしに撮ってきたのだが、あと見てビックリ!信じられない発色と大量のノイズで、数十年前のポジを見ているようだ(そのため、写真はかなり厳選しなければならなかった)。ただ、こういう写真も廃墟の都市ハンピには案外相応しいかもしれないと自分をなぐさめている。
ハンピに王朝があったのは14~16世紀にかけて。50万人が住む巨大都市だったようだが、イスラム勢力に滅ぼされ、このとき、50万人の住民全員が惨殺されたという。もちろん一人や二人は逃げ延びた人たちもいただろうが、それにしても50万人とは想像もできない数である。死体に埋め尽くされたハンピはもちろんそのまま捨て去られた。そしてハンピは無人の荒野になった。
ハンピが再び脚光を浴びたのはわずか数十年前のこと。ヒッピー世代のガイジン旅行者のあいだで徐々に人気が高まっていったが、30年前ぐらいには宿もなく、旅行者は洞窟や廃墟で寝泊りしていたそうである。現在、すっかり観光地化されてしまったハンピだが、メインルートから少し外れるととても静かだ。早朝真っ暗なうちから岩山に登ったときも、自分以外には誰もいなかった。そして朝の光に包まれるハンピの光景は忘れがたい。また行きたいと思う場所だ。もし機会があったら、テントを持ってガイドと一緒にハンピ周辺を放浪してみたいと思う。