india_gangasagar01_019

ガンガー(ガンジス河)河口の聖地ガンガーサガール。最果ての聖地には、さまざまな顔があった。

聖地は河口近くの小さな島の一角にあった。普段は何もないただの辺境地だが、一年に一度の祭りのときだけそこは多くの巡礼者で埋め尽くされる。巡礼者のほとんどはそこらへんの浜辺でごろ寝するか、あるいは日帰りである。

ガンガーサガールへの旅行を計画していたときからともかく頭を悩ませたのが宿の確保であった。島の中にホテルはないだろうし、あったとしてもすでに満室だろう。いろいろ考えた末に、大陸側の街カクディップで部屋を確保した。しかし、カクディップから聖地までは片道2時間。しかも夜にフェリーがないので早朝の写真が撮れない。最終日前日ぐらいは聖地で泊まろうと思って探し当てたのがサドゥ(ヨーガ修行者)の小屋だった。寺の横の通りに、裸のサドゥが座って巡礼たちを祝福するためのひな壇がずらりと並んでいて、そこに座っていた一人であるナンディーバルティーババの小屋(ひな壇の裏に寝れるスペースがある)でお世話になることにしたのである。

ところでナンディーバルティーは本格的なナガババ(ナガ派サドゥ)である。祭りの場などでは素っ裸に灰を塗りたくった状態で過ごす。寝るときも当然裸だ。せまい小屋の中で裸の修行者と寝るのは奇妙な気分だなあ、と思いつつ、それでもなんとか眠りについた。そして翌早朝、まだ真っ暗な時間に目を覚ますと、ナンディーバルティーはすでにひな壇の上で巡礼者たちを忙しく祝福しつづけている。祝福された巡礼者たちは小額の賽銭を置くことになっており、サドゥの立場からすれば今日は稼ぎ時。寝る時間も惜しいのである。

少し眺めていたら、ナンディーバルティーがこちらを振り返ってニヤッと笑った。なんだかとてもあやしい祭りの朝だ。三脚もないからいい写真は撮れそうもなかったが、これは撮らねばならないと思って数枚シャッターを切った。最後の写真がそのうちの一枚。

(19枚目がひな壇の上のナンディーバルティー)

ナンディーバルティーは見かけこそあやしいが、インドの聖地で裸のナガババを目にすることは決して珍しくない。ガンガーサガールにはもっとあやしい一群がいた。人食いサドゥとして有名なアゴーリババたちだ。ガンガーサガールのあるベンガル周辺が彼らの本拠地でもある。

人食いサドゥと言っても、人を殺して食べるのではなく、墓場に住んで火葬されなかった死体を儀式の一環ととして食べるらしい。12枚目から15枚目がアゴーリババの写真だ。一部、腹のあたりに人骨が飾られている。

あやしいサドゥや放浪者がうろつく最果ての聖地ではあったが、他のガンガー聖地に比べても雰囲気は悪くない。海に面していて開放感もあるし、ベンガルの人は総じて優しい。ガンガー最下流に住む彼らはあらゆるものを許容して生きてきた。人食いサドゥでさえも排除されないのである。

(ガンガーサガールは、実際にはガンジス川の分流フグリー川の河口にあたります)

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