2010年 10月 29日
ふたたびガンジス川源流に戻ってきた。今度の旅の相棒は物静かなシャンブナートババ。
シャンブナートババは無為自然の人である。ハシシを吸うのとバババッグを編む以外はほとんど何もしない。旅をすることさえ億劫がる。拝み倒して旅に連れ出したのは彼にとっては甚だ迷惑だったに違いないが、それでも僕は彼をヒマラヤの大地に立たせてみたかった。
あるとき、シャンブナートババにこんな質問をした。「サドゥにとって一番大切なことは?」彼は即座に「何もしないこと」と答えた。
源流からの帰り道、何日も続いていた雨雲が途切れ、太陽が顔を出した。昼寝していた茶屋のテントから外を見ると、シャンブナートババが陽だまりの中の椅子にもたれかかり、ハシシを吸いながらまぶしそうな顔をしながらただ空を眺めていた。