2010年 10月 13日
本州最北端の下北半島。大間のマグロ以外にも
生涯にいちどは訪ねてみたい場所がある。恐山である。
下北半島といえば、一に大間のマグロ。二に霊場恐山。三に北限のニホンザル。その他には六ヶ所村の核燃料サイクル施設。そのくらいが連想ゲームの限界だ。
大間のマグロやニホンザルは、母方の祖母のいとこよりもお目にかかるチャンスが少ない。だが恐山ならなんとかなる。出かけていけばそこにたどり着ける。ということで、恐山に行ってみた。
大間のマグロやニホンザルは、母方の祖母のいとこよりもお目にかかるチャンスが少ない。だが恐山ならなんとかなる。出かけていけばそこにたどり着ける。ということで、恐山に行ってみた。
恐山のお祭りは年に二回、7月下旬と10月上旬にあるそうだ。ドキュメンタリー番組などで有名なイタコの口寄せが行われる。私が訪れたのは、ちょうど秋詣りが終わった一週間後で、観光客もほとんどいない時期だった。
恐山それ自体は、想像していたよりもずっとこじんまりしていたし、少しもオドロオドロしい感じがしない、ごく普通の霊場といった場所だった。アジアやヨーロッパを旅すると、ここよりもよほど不気味な印象の寺院や古城や古いホテルがあるし、そんな場所でうまく言葉に表現できないような不思議な経験も何度かした。が、この恐山にそんな雰囲気はなかった。
写真の後半は恐山周辺と、下北半島の中央部にある薬研温泉の近くの原生林など。とくに最後の数点は、林野庁だかどこかの大学だか忘れたけれど、あえて人の手をまったく入れない、自然のままの森林を経過観察するための研究区域の写真である。倒木は倒れたままに、落ちた枝葉は朽ちてふたたび土に還るままに。そんな原生の森には、手入れの行き届いた森林にはない美しさがあった。ある意味でとても人間臭い恐山の霊場よりも、よほど神聖で畏敬にあたいする聖域のようだった。