2010年 10月 14日
東京と高尾を結ぶ中央線。
中野、高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、吉祥寺、三鷹、などなど、比較的知られた街が並ぶが...。
荻窪に引っ越してきて最初に買った本のことをよく覚えている。「中央線の呪い」という少し大袈裟なタイトルの本だったが、中央線の街の魅力とちょっと変な中央線人について面白おかしく解説されていた。賑やかな商店街、飲み屋、喫茶店、古本屋、ヒッピー、インド文化など話が満載で、昔、話に聞いたとおりの雰囲気らしい。この本を読みながら、自分には中央線があいそうかなあ、とぼんやりと考えたりもした。
...そしてあれから8年、今も中央線のちょっとはずれ(西国分寺)に住んではいるが、中央線文化と馴染みになることは結局なかったようである。行きつけの飲み屋や喫茶店があるわけではなく、ブックオフ以外の古本屋に出入りするわけでもなく、中野、高円寺あたりのサブカルチャーにも興味はなく、また、井の頭公園がお気に入りになるということもなかった。自分にあうかなあと思ったのは結局錯覚だった。
2年前、東京を撮り始めたときも中央線沿いの街には何度か通った。なんといっても近場だからつい足が向いてしまうのだが、写真のほうは手応えがなく困った。中央線沿いはどこも駅前にごちゃごちゃした商店街があって、あとは平坦な土地にひたすら住宅街が続くばかり。似たような写真ばかりが量産され、だんだん街を歩くことに疲れてきてしまった。
中央線沿いで撮った写真は見返すこともあまりなかった。Campur Photoでもギャラリーを作る予定はなかったが、モノクロに変換して見るうち気が変わった。撮影中はたしかにおもしろくなかったし、逆に切ないような気持ちばかりが強まってそれが鬱陶しかったが、モノクロにするとその切ないような気持ちだけはとりあえず写っているようである。写真点数が非常に多くなったが、歩いても歩いても似たような街並みばかりが続く苛立ちというか、そういうのも含めて当時の気分そのものだと思う