2010年 9月 14日
かつてのランサーン王国の都として繁栄したルアンパバーン。
いま、生きた世界遺産として世界中の旅行者をひきつけている。
未明、宿の裏で飼っているニワトリがゴソゴソとざわめき始めるのと同時に起床。外はまだ真っ暗だ。ほとんど街灯もない露地を、ペンライトをたよりに寺へ急ぐ。いくつもの仄暗い電球がともされた世界遺産の寺は、いかにもラオスらしい控え目な荘厳さで、闇の底に沈んでいた。
などと、少し気取った調子で書いてみたが、実際は重いカメラバッグを肩に、息を切らして寺に駆けつけたのだ。ラオスでもっとも美しいといわれる寺、ワットシェントーンを背景に、朝の托鉢の風景を撮りたいがため、ニワトリと競争で早起きしたのだ。しかし残念ながら、私が訪れた11月は夜明けが遅い。修行僧が托鉢に出る時刻になっても、まだあたりは薄暗いままだった。思い通りにことが運ばないのは旅につきものだ。写真も同様。思いがけないことが起こるから、おもしろい写真が撮れたりする。
ルアンパバーンを歩いて強く印象に残るのは、寺院や旧王宮の美しさもさることながら、修行僧の多さと、その生活を支える社会の核として仏教が機能し続けている、ということだ。修行僧は、文字通り仏道を学び精進するのが本分であり、生産的な労働をするわけではない。このページの写真のように、1日の半分くらいはヒマな時間である。なので、私のような時間だけはたっぷりとある旅行者が僧院を訪れると、英会話の勉強になるといって、快く案内してくれたりする。彼らの多くは高校大学くらいの年齢で、一定期間の修行を終えたら、進学したり別の仕事につく目標を持っている。そのまま仏道に進むのは少数派とのことだ。
みんな多感でまじめな青年だが、なかには特異なキャラクターの持ち主もいる。ルアンパバーンを訪れたら、ぜひ、彼らの外国語勉強のためにも、僧院をたずねてみることをお勧めする。ただし、日本語を勉強している青年はほとんどいないので、そのつもりで。また、女性は修行僧のからだに触れてはならない、という点もご注意を。