2010年 8月 14日
ミャンマーには花があふれている。
若くして死んだ有名な写真家ロバート・メイプルソープが死の直前に撮った一連の花の写真がある。スタジオで撮影された花はエロティックでなまめかしかった。それまでの花に対するイメージを変えたといってもいい。たしかにどんな花でもじっと見ているとエロティックに見えてくる。
ミャンマーに花はあふれている。仏壇、パゴダ、女たちの髪、交差点での花売りの男たち、市場での花売り、車のバックミラー、魚屋では魚の上にまで花が添えられていた。なぜそこまで花があるのか。ミャンマーにしばらく滞在すると、花の存在が気になるようになってきた。花は何も語らない。語らないけどそこに人々の思いが現れているような気がして、レンズを向けるようになった。
メイプルソープがもしミャンマーで花を撮ったらどんな写真になっていたのだろうか。やはりエロティックな花だろうか。それとも、別の花を撮っただろうか。そんなことを思いながら私は道ばたに落ちた花の写真を撮っていた。