2010年 9月 19日
タイ東北部のちいさな田舎町ピーマイに
タイのアンコールワットと呼ばれる美しい寺院遺跡がある
バンコクから列車とバスを乗り継いでおよそ6時間。タイ東北部(イサーン)の入り口に位置する町ピーマイ。タイのアンコールワットと呼ばれる美しい寺院遺跡のほかに、とくに見所のないちいさな田舎町が、この祭りのときには人であふれる。
このアンコールワットによく似た様式の寺院が建てられたのは、11世紀前後と考えられている。アンコールワットが12世紀はじめ頃だからそれよりも古いが、あのピラミッド型の祠堂の様式美は、この寺院にすでに見ることができる。日本ならば平安中期、藤原氏の全盛時代で「源氏物語」が書かれた頃だ。東南アジアのこの辺りではクメール王朝の全盛期で、現在はタイ東北部のピーマイも、もちろんその広大な版図の一部だった。「幸福の夜明け」スコータイ王朝が北部タイに生まれるまで、まだ200年ほど間がある。
さて、ボロが出ないうちに歴史の解説はきりあげて、写真の説明をします。上から三段目までは、ピーマイフェスティバルの目玉のショーです。寺院の参道となっているテラスを舞台に、寺院そのものを背景にして、神話を題材にした舞踊劇がくりひろげられる。遺跡がおおく残るタイ中部や北部では、この種のショーは非常に洗練されていて、なかには英語のナレーションがつくものもある。それらは当然、大手プロダクションやテレビ局の制作によるもので、プロのカメラマンが正式に取材をするとなると、いろいろ面倒なのだが、そのへんの話は省略。ただ、タイのひとびとのおおらかなマイペンライ精神に、ふかい敬愛の念をいだく次第です。
四段目の写真は、その翌日、町外れの運河でおこなわれたドラゴンボートレースの模様。五段目は、ピーマイのクメール様式寺院の遺跡。いちばん下の段は、町外れのサイ・ンガーム公園。池のそばにうっそうと茂る「美しいベンガル菩提樹」(サイ・ンガーム)の公園で、無数の気根が垂れ下がったあいだを遊歩道が縫い、仏像を祀ったほこらまである。木陰の屋台で、池をわたる風に吹かれながら、タイ風のつまみと冷えたビール。いや、そこまで写ってはいないけれど、だいたいそういう段取りになります。