2010年 7月 12日
メコン河は、中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムの6ヶ国を流れる、全長4200kmにもおよぶ、東南アジア最大の国際河川。その最下流域が、ベトナムのメコンデルタ。カントー、ミトー、カーマウなどの街がある。メコン・デルタが急速に開発されたのは、19世紀の後半、フランスの植民地になってからで、運河が掘削されたのが始まり。
カンボジアからベトナムに入ったメコン河は、「クーロン(九龍)」と呼ばれる幾つもの流れになって南シナ海に注ぎ、源流からの4200kmの旅は終わります。
河口の手前60kmの、大小無数の船が集まってくるカントー郊外、フーンヒェップの水上マーケットはボートと人でにぎわっていました。
「クーロン(九龍)」のひとつ、一番北を流れる支流の河口に行ってみました。そこは遠浅の砂浜になっていて、たくさんの人が、ハマグリのような貝を獲っていました。遠くには南シナ海が見えます。
今度は、ミトーから小舟を雇って海まで出ました。メコンの旅は、南シナ海に出て終わりにしようとずっと思っていたのです。
海は波が高いと聞いていたのですが、たまたま河口に出た日は風もなく、まるで水面 はプールのように穏やかでした。エンジンを止めてもらい、船べりから手を差し出して、水をすくって嘗めてみました。まぎれもなく海の味がしました。
ふと水平線を見ると、入道雲のような白い雲が立ち昇っているのに気がつきました。まるで勢いのある龍のように、天に向かって伸びていました。
そのとき、思い出したのです。中国青海省のチベット族から聞いた、ザチュ(メコン)の源流の水の沸き出し口を、遠い海から派遣された21の龍神が守っているという話を。
雲は源流に帰っていく龍神なのかもしれません。