2010年 7月 07日
インド屈指の聖地ヴァラナシを4ページにわたって紹介する。
はじめてのインド旅行以来、この街を9回訪れている。あまり好きじゃないと言いつつもなぜか舞い戻ってしまう懐かしくも魅力的な街である。
ヴァラナシはガンガー(ガンジス川)の沐浴風景で有名だ。たとえインドに興味のない人であっても一度ぐらいはその映像を見たことがあると思う。U字型に曲がるガンガーの外側に84のガート(階段状になった沐浴場)が並び、その背後に古い街並みがびっしりと連なっている。大きな火葬場がふたつあることでも知られている。
ヴァラナシはとんでもなく古い街である。3000年以上も昔から聖地として知られ、その歴史と伝統は現在まで連綿と続いてきた。イスラム勢力に街を破壊されたときも、ガンガー沿いからサドゥ(修行僧)や巡礼者、そして火葬場の煙が絶えることはなかっただろう。途絶えることなく続いてきた歴史の重さ(重苦しさ)をこれほど感じる街は他にない。
ヴァラナシという沐浴風景がすぐに思い浮かぶが、この手の写真はすでにたくさん出回っているし新鮮味がない。新しい風景を探さなければ…。4年前に滞在したのはちょうど冬の真ん中、朝靄の季節だ。これを生かして写真を撮ろう。…というわけで、毎朝真っ暗なうちからガンガー沿いを歩くことにする。ただ、その前に少し宿について触れておきたい。
ヴァラナシで泊まっていたのはシータ・ゲストハウスというところであった。以前にも何度か泊まっていて、常宿のようになっていた。安宿にしては値段も高めでサービスも普通だが、屋上からのガンガーの眺めが最高である。しかし、一番のポイントは真っ暗な早朝の時間帯に安心して川に出られること(ガンガー沿いに直接下りる階段があった)、ついでに付け加えると、街から見ると路地の奥という立地条件でありながら、夜に街から戻ってくるときに、かつて一度も野良犬に吠えられたことがないというのが好印象につながっている。
従業員がどうのこうのというのは僕にとってはたいしたことではない。悪ささえしなければいい。何より必要なのは交通の便、これに尽きる。ヴァラナシはガンガー沿いにすっと出られることが条件になるが、一般的な街だと、バス停の近くというのが一番の好条件。周辺は24時間明るいし、リキシャはいつでも使えるし、何より犬が怖くない。犬を克服して交通の便を得ることがいい写真につながるわけだから、宿選びはバカに出来ない。
関連ページ
ヴァラナシ2(動物)
ヴァラナシ3(彼岸)
ヴァラナシ4(此岸)